薬の効果が出ない?AGA治療と糖尿病について

多くの人にとってAGA治療は時間こそかかるもののそれほどの苦痛はともなわないプロセスです。しかしながら、糖尿病を患っている方にとっては「命か、AGAか」という究極の二者択一を迫られることも充分にあります。果たして、糖尿病とAGAの治療を両立させることは本当に難しいのでしょうか。糖尿病とAGA、それぞれのメカニズムをくわしく解説するとともに、このふたつの症状をバランスよく安全におさえるアプローチについて患者さんの目線で探っていきます。

糖尿病の人はAGA治療薬が服用できない?

まず、糖尿病とは代謝異常が原因となってインシュリンが正常に分泌されなくなり、血糖値のコントロール機能がはたらかなくなる病気です。そのため、糖尿病が進行すると注射というかたちで外部から強制的にインシュリンを取り入れ、血糖値を正常な範囲に維持する必要があります。

問題となるのは糖尿病とAGAが複合した場合で、一部のAGA治療薬にはインシュリンの分泌を抑制する物質がふくまれており、糖尿の治療中にこのタイプのAGA治療薬を服用すると血糖値が上昇してしまう恐れがあります。そのため、AGAの治療にあたっては必ず事前に薬の服用履歴が確認され、糖尿病の治療中であることがわかった場合にはその時点で選べる薬の種類が限定されてしまいます。ただし、まったく選択肢がないということではなく、内服薬以外の治療薬、つまり頭皮に直接塗り込むタイプの外用薬であれば血中に取り込まれる心配もないため、糖尿病の治療中であっても服用が許可されています。また、糖尿病がまだ軽度であり、食事療法によって症状をコントロールできる段階であれば経過処置としてAGAの内服薬が処方される場合があります。

ただしその場合でも、血糖コントロールが難しくなり投薬療法に切り替えられた場合にはただちにAGAの主治医に報告をし、薬の処方パターンをあらためて検討してもらう必要があります。AGAが本当の意味で恐ろしいのは、病気の本質についての知識が充分に広まっていないということです。「AGA治療薬がインシュリンの分泌を阻害する」という知識も一般的とは言えず、専門医にかからないかぎり知らない人がほとんどだと言われています。

AGAと糖尿病、どちらを優先すべきか

AGAと糖尿病を天秤にかけた場合、おそらく99%以上の人が後者の治療を最優先に考えるでしょう。AGAで命を落とすことはまずありませんが、糖尿が悪化すれば死に至るリスクがそれだけ大きくなるためです。糖尿を悪化させないためには、体内の血糖レベルをできるだけ一定に保つことが重要です。毎回の食事で糖分を大量に摂取すると血糖値が急激に変化し、糖尿の症状を悪化させると言われています。糖分の吸収を穏やかにする食物から食べることによって、血糖レベルをあまり変えずに、膵臓の機能を1日でも長く維持することができます。

糖分を多くふくむ食品であっても、吸収を遅らせる食品と一緒に摂取することにより、量をコントロールしつつ味わうことができます。体に負担をかけることのない食事スタイルとして日本で注目されているのが「セカンドミール効果」です。考え方は非常にシンプルであり、血糖値が上昇しにくい野菜や穀物から最初に食べはじめることで糖尿病の予防と治療に効果が期待できると言われています。セカンドミール効果において重要な意味を持つのが「GI値」です。GI値は、その食品が食後一定時間内に血糖値をどの程度上昇させるかを示す指標であり、GI値の低い食品から順に摂取することで血糖値の上昇をゆるやかにすることができると考えられています。

糖尿では、できるだけ体内の血糖レベルを一定に保つことが最優先課題であると言われており、GI値の低い食品を意識して摂取することによって糖尿を悪化させない治療法が研究されています。糖尿と食事の順序の因果関係は、本格的な研究がようやく始まったばかりです。セカンドミール効果は糖尿だけでなく腎臓病などの予防および治療にも効果があると言われており、日常生活でも意識して取り入れられつつあります。

医師と相談したうえでAGA治療を行おう

AGAと糖尿はメカニズムがまったく異なる病気ですが、実は共通点があります。それは、「軽視されがちである」ということです。AGAは症状としては髪の毛が薄くなるだけで命をおびやかす危険はありませんし、治療を行わなくてもカツラなどで目立たなくすることは充分に可能です。一方の糖尿も、進行すれば末梢血管の壊死や神経障害など重篤な症状が表れ死の危険もともないますが、軽度のうちはとくに生活に支障もなく、自覚症状さえないことがほとんどです。ゆえに糖尿病もまた往々にして治療が遅れてしまう病気であり、不調を訴えて来院した時にはもうすでに取り返しのつかない段階にまで、症状が進んでしまっていることも少なくありません。

糖尿とAGAのもうひとつの共通点は、「病気の本質が理解されにくい」ということです。糖尿は決して、ただ単に甘い物が食べられなくなる病気ではありません。糖尿病の本質は代謝異常であり、インシュリンが正常に分泌されなくなることによって血糖コントロールがきかなくなり、その結果として全身のあらゆる血管や臓器が破壊されていくという非常に恐ろしい病気なのです。いかなる病気であれ、治療が遅れるほどQOLを著しく低下させます。糖尿の食事療法では食べたいものが自由に食べられなくなりますし、インシュリンを打つ時間をきちんと確保しなくてはなりませんから、仕事の幅もおのずとかぎられてしまいます。

AGAでもその治療プロセスにおいては数年単位での通院が必要となりますし、場合によっては複数の治療薬を持ち歩く必要があり、予想以上にかさばります。何よりも、頭髪という目立つ部分にコンプレックスを抱えたままでは人生にも本当の意味で自信をもつことができません。ひとりで悩む必要はないのです。糖尿が合併するAGAであっても治療方法はたくさんあり、QOLを維持することは充分に可能です。

まとめ

一部のAGA治療薬にはインシュリンの分泌を阻害する成分がふくまれており、糖尿病を治療している人は同時に服用することができません。ただし、外用薬タイプのAGA治療薬であれば問題なく使用できるため、一度専門医に相談してみましょう。またどちらの病気も軽視されてしまうことが多くありますが、進行してしまうと取り返しのつかないことになってしまうケースもあるのです。

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